会計・経営リポート コラム
「共感商売」
その気になって辺りを見回せば商売のヒントはどこにでも転がっていますが、
1メートル先のよく見かけるキノコを採るために、
足元の松茸を踏んづけるようなことをしていませんか?
今回ヒントを与えてくれるのは、
渋谷の通称 『マルキュー』 と呼ばれる若い女性向けのファッションビルで働くギャルです。
彼女たちには、積極的に勧めなくてもお客様を買う気にさせる独自の接客テクニックがあるのです。
たかが小娘だと思っていると、松茸級のヒントを見逃すかもしれません。
彼女たちは、店内に入ってきたお客様を「いらっしゃいませ」で迎えたあと、
頃合いを見計らって声をかけます。商品を手にとって見ているお客様に、
「そちら、いかがですか?」「そちらは新商品なんですよ」
などと近寄っていくのが一般的な接客だとしたら、
彼女たちの声かけは違います。「それ、かわいいですよね」。
自分の店の商品を売る立場にありながら、まるで自分も買い物に来た人のような物言いです。
「かわいいでしょ?」でも「かわいいんですよ」でもなく 「かわいいですよね」。
この微妙な違いで何を狙っているかと言うと、お客様に「共感」を示しているのです。
自分が気に入っているものに第三者が共感してくれたら、
その商品(サービス)に対する興味は一気にアップします。
そのタイミングで
「ご試着なさいますか?その服、私もひそかに狙ってたんですよ」
と水を向けると、
お客様は店員に勧められたという意識もないまま、
自分で選んで自分で決めた感覚を持ちます。
両者のベースに「共感」があるので納得しやすいのです。
押し売りされたら返品やクレームになりかねないことも、
お客様が自分で納得した上での行動ならトラブルを招きにくいだけでなく、
「気に入って買った!」という気持ちを持ってもらうこともできるでしょう。
どのような商売においても共感は、物事をスムーズに運ばせる潤滑油となります。
「共感商売」でお客様の心をつかみましょう。