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    会計・経営リポート コラム

    「「美味しい鍋」は社長のさじ加減ひとつ」

    鍋の美味しい季節になりました。鍋と聞いて俄然張り切るのが「鍋奉行」です。食材、ダシの取り方、具を入れる順番や味付け、火加減、食べるタイミングまで世話を焼き、 すべてにひと言モノ申さないと気がすまない性質(タチ)の人を誰が「鍋奉行」と名付けたのか知りませんが、言い得て妙なネーミングです。

    「確かにいるな~。そういう人!」と笑っているあなた、鍋のない所で鍋奉行になっていませんか。 口では「任せたぞ」と言いながら、結局は1から10まで指示してしまう。社員の仕事に口を出しすぎる社長は、潜在的な鍋奉行かもしれません。 経験が浅いから心配で任せてはおけない。何かあったら困るからいちいち目を光らせる。それはその通りだとして、考えてみたいのは「口の出し方」です。

    人間の脳は不思議なもので、手をかけすぎるとスキルはアップしても意欲は低下するようにできているそうです。 社員を事細かくチェックして世話を焼けば「美味しい鍋」になると思いきや、仕事の場合そうはいかないのです。 まずは任せてみる。その一方で仕事を進めながらやり方を教えていくというさじ加減。仕切りたがりの鍋奉行にはストレスかもしれませんが、人を育てるとはそういうことでしょう。

    この夏、あるお祭りで、みこしの音頭をとる人を見て外国人が「ナベブギョウ!」と叫びました。 その外国人は、「先頭に立ってみんなを仕切っている人=鍋奉行」だと思ったのでしょう。鍋奉行も世界的になったものです。

    みこしの音頭をとるのは社長ですが、鍋奉行になってはいけません。フランスの 詩人アラゴンはこう言っています。

    「教えるとは希望を語ること。学ぶとは誠実を胸に刻むこと」。 社員の仕事に口を出す回数を減らし、その分、熱く希望を語ってみませんか。社員に明日をイメージさせるのは社長の大事な仕事です。 希望のもとに明日をイメージできる社員が増えれば、いずれ「美味しい鍋」ができることでしょう。

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