会計・経営リポート コラム
「お客様に喜んでもうらうために「連想させて背中を押す」」
若者のクルマ離れが進んで若者相手の販売台数が伸び悩んでいる今、メーカーはクルマの「使い道」を提案するCM作りに余念がありません。
カッコイイ走りを見せるのがかつてのCMなら、今は親子で海に行くシチュエーションを設定したり、
荷物の多いママに「こんなに収納があって便利ですよ」と呼びかけたり、クルマの使い道を懸命にアピールしています。
販売店でもクルマの使い道を具体的に提案しながら、「このクルマがあると○○できて便利ですよ」「このクルマに乗って○○な思い出をつくりましょう」などとお客様にイメージさせるのです。
「こうすれば、孫の運動会も簡単に撮れます」ジャパネットタカタの高田社長も同様の手法ですね。
欲しいものを積極的に求める能動型の消費が影を潜めるなか、何かを連想させることで消費者の背中を押し、消費行動を刺激しようというわけです。
オンライン書店のアマゾンなどは顧客の購入履歴や閲覧履歴から、同じ著者の別の作品や関連性の高い商品などを「おすすめ商品」としてページ内で推薦しています。
これは「レコメンデーション(推薦)機能」と呼ばれ、顧客の検索履歴や購入履歴から次の購入を促そうというサービスです。時と場合によっては煩わしくも感じられますが、
何となく気になってお勧め商品をクリックして、「これはいいかも!」とそのまま購入してしまうことは確かにあります。自分の視点だけでは探し出せなかったものに出会い、
意識していなかった自分の欲求に気付く。レコメンデーション機能は、連想によって気付きを与え、行動させるための新しい消費行動を刺激するツールでしょうか。
物と情報に溢れた現代は「選びきれない」時代ともいえます。商売でも「連想させて背中を押す」方法で、顧客の選択肢に分け入っていく工夫が必要なのかもしれません。
けれどそれはマーケティングうんぬんではなく、突き詰めれば「お客様に喜んでもらえるようどれだけ知恵を絞っているか」ではないでしょうか。