業務案内|中央総合会計

    会計・経営リポート コラム

    【ロジャー・バニスター】

     子供が小さい頃、ハムスターを飼っていた。このハム君(ひょっとしたら嬢だったかも)の小屋の掃除をする間だけ私に管理が命じられる。 ある時、ブリキの米菓の入れ物があったので中に入れておいた。 このハム君、逃げようとして登りかけるが高さがある上に滑りやすくあと1~2cmのところで滑り落ちてしまう。 四面全てチャレンジした後に角のところで挑戦し結局登れない。当然ハム君は頭があまり良くないので何度も何度も同じ挑戦をする。 「お前には脱出は無理だから無駄な抵抗は止めろ」と言ってやる。10分程の間にちょろちょろとあっちで登り、 こっちで登り100回位チャレンジしただろうか。その時、突然奇跡が起きた。なぜだかわからないが彼の右手(足?)がブリキの突端に届き見事脱走したのだった。 慌てて捕まえてまた入れると今度はものの30秒程で脱出した。何度入れても同じだった。あんなに脱出できなかったのにいとも簡単に出て行ってしまう。
     ロジャー・バニスター効果をご存じだろうか。 かつて人類が 1 マイル(約 1.6km)を4分を切って走る事は物理的に不可能と言われていた。それに挑んだのがイギリスのハムスターではなく(ロジャー・)バニスターだ。 ハードな練習を重ね数多くのチャレンジの末、1954年ペースメーカーに率いられ3分59秒4で走り抜けたそうだ。 しかしこのバニスターの話がスゴイ!と言うのではない。この達成から 1 年以内に20名以上ものランナーが4分を切るタイムを出し続けたことだった。
     フィギュアスケートの 4 回転ジャンプも同じだったし、4 回転半も羽生選手が成功すると次々に跳べるスケーターが出てくるのだろう。人は出来ないと思ってしまうと同時に出来なくなる。 出来ると思ってやり続けると奇跡が起きる事がある。また人は、一度出来るとわかると簡単に出来るようになる。 頭の中だけでそんなの無理、そんな事出来ないと思った瞬間出来なくなるのだ。 頭が悪かったのは、ハム君ではなく私だったのだ。

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